愛猫がなんだかソワソワして、普段より大きな声で鳴くなどの変化に戸惑う飼い主さんも多いかと思います。これらは「発情期」と呼ばれる、繁殖に適した時期を示す行動なのです。
今回はそんな猫の発情期の猫の行動と、そのしつけのコツについてお伝えします。
発情期の猫の解説
1.発情期の時期
オス猫には発情期というのはありません。発情したメス猫の匂いに誘われて、オス猫が発情する仕組みになっているからです。
メス猫の発情期は春期の2~4月と夏期の6~8月が発情のピークと言われています。
これは出産後の子猫が過ごしやすく、餌や気温などの環境条件が良い季節を本能的に選択していると考えられます。
また、冬から春にかけてだんだんと日照時間が長くなってくると、その変化をとらえて発情期に入るとも言われています。
そのため、桜の開花時期と同じように、日本の中でも地域によっては、猫の発情期も多少の前後差があります。
さらに、室内で飼っている猫の場合には、外にいる猫よりも、屋内での夜間照明による日照時間の影響を受けるとも言われています。
そのために、季節を問わず一年中発情しているような猫も見られる傾向があります。
2.発情期の期間
発情期の期間は2~3週間ほどです。
また、発情周期と呼ばれるメス猫特有のサイクルがあります。
発情周期には「発情前期(1~3日」」「発情期(4~10日)」「発情後期(1日)」「発情休止期(個体差による)」という4つの期間があります。
3.種類による違い
短毛種の猫は長毛種よりも早く性成熟します。
そのために、生後5か月頃から7~8ヶ月には最初の発情を迎えます。
長毛種の場合は、生後10か月前後に最初の発情を迎えます。
生後1年半で最初の発情を迎えるヒマラヤンなどは、性成熟がゆっくりと進むといえます。
発情期のオス猫の6つのサイン
1.そわそわと落ち着きがなくなり、窓の外の様子を気にする
2.特徴のある大きな鳴き声を出し続けて、屋外にいるメス猫を呼ぶ
3.窓やドアをカリカリと引っかいて、外に出たがる
4.壁や家具などに吹きかけるようなオシッコをする(尿スプレー)
5.噛んだり引っかくなど攻撃的になる
6.食欲が落ちて、痩せてくる
発情期のメス猫の6つのサイン
1.発情前期のサイン
・体を床や家具、飼い主などにこすりつける
・「ウオーン」など特徴的な大きな鳴き声で鳴き続ける
・横に転がるローリング行動をする
・しっぽを高く上げてスプレーのようなオシッコをする(尿スプレー)
2.発情期のサイン
・「ロードシス」というオス猫を受け入れる姿勢をする(両前足を伸ばした状態で上半身を床につけて、お尻を持ち上げて揺らしながら、後ろ足で足踏みをする行動)
・食欲がなくなり、毛づやが悪くなる
猫の発情期の2つの気持ちとは
1.オス猫の気持ち
オス猫としては、メス猫に呼ばれているので会いに行きたいというのが本当の気持ちでしょう。そして他のオス猫と戦い、勝ってメス猫に選んでもらえる強い猫でありたいと思っているはずです。
そのために、飼い主に外へ出してほしいと窓ガラスをカリカリと手で開けるような動作をして必死にアピールしているのです。
2.メス猫の気持ち
メス猫としては、たくさんのオス猫を惹き寄せて戦わせて、一番強いオス猫を選ぼうとしています。これは子孫を残すという本能です。
そのために匂いの強いフェロモンを出して、多くのオス猫を集めてケンカをさせる状況を作り出すのです。
オス猫を呼ぶために大きな鳴き声を出したリ、飼い主に外へ出してほしいという気持ちを伝えるために、体をスリスリとこすりつけてきたりします。
発情期の猫への3つのしつけ法
1.オス猫への上手なしつけのポイント・対策方法
オス猫への対策方法としては去勢手術を受けるのが一番の方法です。手術を受けるとなれば、傷の心配や麻酔の不安など、飼い主さんにとっては重大な決断ではあります。
しかし、一度でも発情期を迎えてしまうと、その後、老猫になるまでの一生の間、メス猫の発情期の度に様々な特有の行動を起こします。
飼い主さんを悩ませたくてしている訳ではないのに、飼い主にとっては問題行動として悩ませることになってしまいます。
飼い主と愛猫との良い関係を続けていくためにも、そして万が一脱走してしまった時に外猫に子どもを作らせないためにも、生後6か月になったら去勢手術をすることをおすすめします。
2.メス猫への上手なしつけのポイント・対策方法
・避妊手術
メス猫への対策方法もオス猫と同じく避妊手術を受けるのが最も良い方法です。ただ、お腹に5センチほどの傷跡が残るために、手術を躊躇してしまう飼い主さんの気持ちもあるでしょう。
しかしオス猫と同様に、一生涯に渡って年に2~3回の発情期が起こり、その度に交尾ができないというストレスは、猫にとってはとても辛いものです。
さらに交尾をしない状態で発情期を何度も迎えてしまうと、生殖器の病気である「子宮蓄膿症」にかかりやすくなってしまいます。
避妊手術は望まない妊娠を避けられるとともに、欲求不満状態を解消するので、結果的に長生きになります。
また一度も発情しないうちに手術をした場合、乳がんなどメス猫特有の病気のリスクが7割も少なくなるというメリットがあります。
メス猫の場合は生後6か月以内に手術を受けることをおすすめします。
生後2~6ヶ月以内の早期に手術を受けた場合でも、その後の発育や行動には問題がないという研究結果もあります。
・手術以外の対策方法
手術をどうしても受けさせたくない場合には、発情抑制ホルモン剤を首に埋め込むという方法があります。
この発情抑制ホルモン剤により約1年間は発情を抑えることができます。
埋め込む時期や副作用についてはかかりつけの獣医師によく相談してください。
他には「マタタビを与える」「風呂のシャワーをかけて毛づくろいをさせる」「ペットホテルに預ける」「綿棒での擬似交尾」などがありますが、これらはその場しのぎでしかないようです。
発情期の猫への2つの注意点
1.注意すべき飼い主の行動
窓や網戸の閉め忘れ、また鍵のかけ忘れに注意しましょう。猫の前足はとても器用です。爪を引っかけて、軽い窓などは簡単に開けて外へ出ていってしまいます。
不妊の手術を受けていない場合は、妊娠する・妊娠させる可能性があります。そして子猫が野良猫になって保健所に引き取られたなら、その先がどうなるのかはご承知の通りです。
飼い主として愛猫を守り、これ以上、不幸な子猫を増やさないようにするためにも、心構えが必要となってくるでしょう。
2.上手な付き合い方
発情期の猫は飼い主さんにとっては困るような行動をさまざま起こしますが、叱ってもどなっても効果はありません。
イライラせずに、鳴き声に対しては耳栓をする、スプレーをしそうな場所にはカバーをするなど対処しながら、愛猫とのより良い関係を保つよう心がけましょう。
猫の発情期への飼い主の2つの心構え
1.子猫だからといって油断しない
子猫といっても早ければメス猫は5か月頃、オス猫なら9か月頃から初めての発情期を迎えます。月齢をよくよく数えながら、あらかじめ発情期の知識を持っておくことが必要でしょう。
2.対策や準備をしておく
去勢・避妊手術を予定していても、その前に発情期が始まってしまう場合もありますので、鳴き声や尿スプレーなどへの対策を考えておくと良いでしょう。
今回のまとめ
メス猫の発情期の時期は2~4月と6~8月がピークであり、オス猫には発情期はない。
発情期の猫のサインは、大きな声で鳴いたり、尿スプレーをするなどがある。
発情を抑えるには不妊手術が有効である。
不幸な猫を増やさないためにも、飼い猫を外へ出さないようにするのが必要である。
猫の最初の発情を迎える年齢は、メス猫は5か月頃、オス猫は9ヶ月頃である。
発情期が始まる前に対策や準備をしておくと良い。