猫も人間と同様にフケがでることがあります。猫とのスキンシップ中に気が付く飼い主さんも多いでしょう。フケには生理的な問題のないものと、皮膚のトラブルが原因のものがあります。
では、心配のいらないフケとどのように見分ければよいのでしょうか。今回はそんな猫の気になるフケについて原因から対処方法までご紹介します。
フケが出る5つの原因とメカニズムとは
フケは新陳代謝の一環で古くなった皮膚が剥がれ落ちたものです。要するに健康な猫でもフケは見ることがあります。
1.新陳代謝によるフケ
このフケは生理的な現象によっておこるもので、もともとフケの出やすい猫もいます。この場合心配はいりません。
2.乾燥が原因のフケ
乾燥が原因のフケはとても多く、肌が乾燥することで皮膚が剥がれ落ちやすくなります。
3.カビが原因のフケ
室内と屋外を自由に行き来する猫でよく見られるのがカビが原因のフケです。野外には様々なカビや細菌などがあり、それを体に付着させてしまうことがあります。
また室内のみの飼育でもシャンプーをした後にきちんと毛を乾かさないとカビが繁殖してしまうことがあります。カビが大量に発生すると古くなった皮膚を食べて必要以上に分解し、食べられたことへの防衛反応のため皮膚をさらにつくります。
そうすることにより、皮膚の生成のサイクルが通常よりも早くなり、新陳代謝が活性化した結果フケが増えるのです。
4.ノミやダニが寄生して皮膚炎を起こすことが原因のフケ
ノミやダニが寄生するとノミやダニの排泄物にアレルギー反応を起こし皮膚炎を起こすことがあります。その皮膚炎が原因でフケがでることがあります。
5.アレルギーが原因のフケ
猫がアレルギーを起こして皮膚炎を起こすとフケがでることがあります。
猫のフケの3つの種類と特徴とは
1.新陳代謝によるフケ
この場合のフケは生理的な現象のため、心配はいりません。特徴はフケの量は比較的少なく、フケ以外のかゆみなどの症状は伴いません。
2.かゆみのあるフケ
フケとともにかゆみを伴う場合があります。猫がかゆみのある部分を掻くことによってフケが多くなります。
3.皮膚炎のあるフケ
フケとともに皮膚炎が見られる場合があります。猫の皮膚をよく観察してみると、皮膚が赤くなっていたり、潰瘍ができていたりすることがあります。
猫のフケへの3つの対処方法
1.ブラッシングをする
定期的に猫のブラッシングをしましょう。ブラッシングをすることで古くなった皮膚や毛を除去したりして皮膚を清潔に保つことができ、フケ対策、フケ軽減につながります。
ブラッシングをする際は柔らかく毛の細かいものを使用し、なるべく優しくマッサージするように行います。強い力でブラッシングをすると肌を傷つけてしまい、炎症の原因となってしまい症状を悪化させてしまいます。
2.シャンプーをする・シャンプーを変えてみる
シャンプーをすることはフケの軽減、対策のひとつです。シャンプーも様々な種類があり、その猫に合う合わないも様々です。フケが多くなった場合シャンプーを変えてみたり、動物病院で相談したりして色々と試してみるのも良いでしょう。シャンプー後はしっかりと毛を乾かしましょう。
3.動物病院を受診する
猫が皮膚炎などを起こしていることや、寄生虫は寄生している可能性もあるため動物病院を受診しましょう。皮膚炎に効くシャンプーや、薬などを処方してもらいましょう。
猫のフケへ活用したい3種類のグッズとは
1.加湿器
猫の肌の乾燥を防ぐためにおすすめなのが加湿器です。猫の生活環境として湿度50~60%、温度18~29度と言われていますので、それらを目安に加湿してあげると良いでしょう。
2.ブラシ・スリッカー
フケを増やさないためにブラッシングをして皮膚を清潔に保ちましょう。毛並みを整えるブラシや、毛玉をとるスリッカーなどがおすすめです。
3.シャンプー
皮膚炎を起こしている場合は皮膚炎を治療するための薬浴シャンプーや、フケ用のシャンプーがあります。必要以上に皮脂を落とさない、刺激の少ないシャンプーを選ぶようにしましょう。
病気チェック!猫のフケと一緒に現れる3つの症状とは
1.かゆみ
フケとともにかゆみが現れることがあります。
2.皮膚炎
フケとともに皮膚が赤くなったり、潰瘍をおこしたりと皮膚炎が現れることがあります。
3.脱毛
フケとともに脱毛がみられることがあります。
猫のフケが続く場合に考えられる5種類の病気
1.猫疥癬
疥癬は猫ヒゼンダニというダニが寄生して、強いかゆみと皮膚炎を起こす病気です。疥癬になると初期には顔や耳の皮膚に脱毛や赤い発疹ができ、フケやかさぶたが目立つようになります。症状が進行すると背中や四肢、お腹にまで広がってしまうこともあります。
2.皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は、皮膚糸状菌という真菌に感染することが原因で、脱毛やフケ、かさぶたなどの症状が起こる病気です。糸状菌症になると、顔や耳、四肢などに円形の脱毛ができその周辺にフケなどがみられます。
かゆみの程度は様々で疥癬ほどかゆくはない様です。また免疫力が低下している猫にかかりやすいと言われています。
3.ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液中の物質に反応しておこるアレルギー性の皮膚炎です。とても激しいかゆみがあり、背中などに脱毛や発疹がみられ猫がそれを掻くことでフケがでることがあります。ノミの寄生が原因のため、お尻に近い背中の部分に赤茶色のノミの糞やノミを見つけることができます。
4.アレルギー性皮膚炎
3つめに挙げたノミアレルギー性皮膚炎に加えて、食べ物やハウスダスト、花粉などが原因でおこるアレルギー性皮膚炎もあります。アレルギー性皮膚炎になると、かゆみをともなう発疹や脱毛が目の周りや背中に集中して現れます。かゆみがあるためにその部分を掻くことでフケやかさぶたがみられます。
5.好酸球性肉芽腫症候群
好酸球性肉芽腫症候群は猫特有の皮膚病で、病変部分好酸球という白血球の1種の細胞が多数みられる「肉芽腫」ができることがかこの病名が付けられました。この病気はアレルギーやウイルス感染、自己免疫疾患が原因でおこるといわれています。
この病気には3種類の病型があり、おもに上唇や上あごに赤褐色の潰瘍病変のできる「無痛性潰瘍」と、おもに腹部や内股、脇の下、指の間などにできる「好酸球性プラーク」、太ももの後ろやお腹の横などにできる「好酸球性肉芽腫の線状肉芽腫」とがあります。
それぞれ症状がすこしずつ異なり、好酸球性プラークや好酸球性肉芽腫の線状肉芽腫ではかゆみとともに脱毛と皮膚があかくなっているのが観察できます。これを掻いたりすることでフケが多くなったりするのです。
症状が気になる場合にすべき4つの検査方法
1.皮膚掻把検査
皮膚を削り取るように採取して顕微鏡で観察する検査を行います。場合によっては染色や固定をして顕鏡をします。皮膚に異常があった場合ほとんどがこの検査を行います。疥癬や皮膚糸状菌症などの診断ができます。費用は一般的に1000円ほどでしょう。
2.スタンプ検査
症状のでている部分ンいスライドガラスを押し当てて細胞を採り顕微鏡で観察します。費用は一般的に1000円ほどでしょう。
3.真菌培養
皮膚糸状菌症であるか、または糸状菌に感染していないかを確認するために真菌の培養を行います。費用は一般的に2000円ほどでしょう。
4.血液検査
白血球の一種である好酸球が増えていないか、または全身に症状が現れている場合全身の状態を調べるために血液検査を行います。
費用は項目によってさまざまですが、全血球計算のみならば3000円ほど、生化学検査なども行うと10000円ほどからです。
日常生活からできる猫のフケへの3つの予防習慣
1.猫の生活環境を清潔に保つ
真菌の繁殖やアレルゲンであるハウスダストなどを増やさないためにも、猫の生活環境を清潔に保ちましょう。まめな掃除機かけや、雑巾掛け、湿度を適度に保つことなどが重要です。
2.ノミダニの予防をしましょう
ノミやダニの寄生を防ぐために、フロントラインなどで外部寄生虫の予防を行いましょう。
3.皮膚や被毛を清潔に保ちましょう
皮膚や被毛を清潔に保つことでフケやフケの原因である皮膚炎を予防することができます。こまめに優しくブラッシングをすることや、シャンプーをしてあげると良いでしょう。
今回のまとめ
フケが出る5つの原因とメカニズムとは
猫のフケの3つの種類と特徴とは
猫のフケへの3つの対処方法
猫のフケへ活用したい3種類のグッズとは
病気チェック!猫のフケと一緒に現れる3つの症状とは
猫のフケが続く場合に考えられる5種類の病気
症状が気になる場合にすべき4つの検査方法
日常生活からできる猫のフケへの3つの予防習慣