猫よけ対策のポイントは「猫に不快な場所だと思わせる」ことです。しかし、猫もあちこちから取捨選択してその場所を快適だと思っているので一朝一夕で効果はでません。急がず、環境に合った方法を探しましょう。
今回は猫の習性や猫よけの方法、そして一番有効な猫よけ対策をご紹介します。
猫よけの必要性
猫好きな人なら、よその飼い猫であろうと野良猫であろうと自分の家に猫が来てくれるのは嬉しいことでしょう。しかし、庭やベランダのプランターなどを常用トイレとして使われてしまうとなると話は別。
また猫同士の縄張りが重なる場所だと、あちこちにオシッコでマーキングされてしまうこともあります。さらに猫がその場所をトイレやマーキングポイントに決めると、毎日繰り返し使われることになります。
肉食動物である猫の糞尿のニオイは強烈です。放っておけばニオイはどんどんきつくなっていくでしょう。近隣の迷惑も考えるとトイレとして利用している猫には遠慮してもらう必要があります。
猫の習性を知る
○猫の縄張り
猫の縄張りはそう広くありません。
餌や寝場所、繁殖相手を見つけるのに苦労しない場合、平均で100m×145m(サッカーグラウンドの1.5倍)程度の範囲で行動しています。条件のよい市街地ならさらに狭くなります。
この範囲で、餌を食べ、トイレをし、寝て、仲間との交流も行っています。
○猫の行動には習慣性がある
季節ごとに差はありますが、猫の1日の行動は決まっています。猫パトロールといわれるくらい同じ時間に同じ場所を回る習慣があります。
・お気に入りの場所
狭い縄張りの中で、餌を食べるのはこの場所、この時間に休憩するのはここ、仲間から情報を得るのはこっち、トイレはここ、寝るのはあっち、とお気に入りの場所決めています。
・昼夜共に行動
猫は夜行性ではありません。野生猫の場合、餌となる小動物が夜行性のものが多いため夜を中心に行動しますが、町中で暮らしている猫たちは昼夜問わず行動します。
・マーキング
猫がオシッコをするのは排尿のためだけではありません。雄猫は自分の縄張りを主張するためにオシッコでマーキングをします。塀や外壁など樹木などにお尻を向けてまっすぐに行います。猫のお尻くらいの高さにオシッコの痕があればそれはマーキングです。
猫よけ方法あれこれ
猫よけには色々な方法があります。肝心なのは猫が不快に思う環境づくりです。学習能力が高いので、繰り返せば「ここは嫌な場所」だということを覚えて寄りつかなくなります。猫の行動時間は昼夜問いませんから猫よけ対策は1日を通して行うべきです。
○猫が寄りつく環境をつくらない
まず考えたいのは猫が使いたくなる環境をつくらないことです。例えば、山砂の庭は猫にとってかなり好条件のトイレだといえます。日当たりのいい場所にテーブルや椅子を出したままにしておけば猫の休憩場所にもってこいです。
庭のグランドカバーを芝生や大きめのウッドチップ、玉石にしてみたり、使わないときはテーブルや椅子を片付ける、または上に植木鉢を置いておくなど、猫が使いたくなる環境をつくらないようにしましょう。
○猫よけネット
猫よけネットとしてホームセンターなどで購入できます。広い範囲をカバーしたいなら農機具の店で扱っている田畑用のアニマルフェンスがリーズナブルです。
一般的には家庭菜園や花壇など決まった範囲での使用に向いています。その程度なら数千円の出費で済みます。農家の人が使うようなタイプであれば庭全体をカバーすることもできます。猫はかなりの高さを飛び超えますがそう高くする必要はありません。手応えのないものを乗り越えるのは結構嫌がります。
○猫よけシート・マット
猫にはいって欲しくない場所に並べて置くトゲトゲを施したシートまたはマットです。プラスチック製ですのでエアコンの室外機や車の上に置くことも可能です。シートをカットして塀の上に貼っておけば猫の侵入を防げます。
手の平で触るとチクチクしますが突き刺さるようなことはありません。塀の上にガラス片や鉄条網を配置するよりも簡単で安全です。
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○猫が嫌悪するニオイ
猫が嫌がるニオイを用意して避けする方法があります。例えば下記の香りを猫は嫌います。
・コーヒー
・香水
・お米のとぎ汁
・ミント系(ハッカ、メントール)
・ハーブ・アロマ
・香辛料
・木酢液、竹酢液
などです。
これらを近寄らせたくないスペースの周囲にまいておいたり栽培したりします。
○忌避剤
猫の嫌がるニオイを合成または配合した薬品です。
○猫よけグッズ
猫よけに特化した電化の猫よけグッズも多数販売されています。
・超音波発生器
人間には聞こえない猫の嫌がる超音波を発生して寄りつかないようにします。値段は高いですが、かなり効果が高く、猫よけグッズの中でも一番成功率が高い製品です。
・センサーつきスプレー
猫が近寄ると猫に向けて忌避剤をスプレーします。動きに反応してノズルの向きを変えてくれる製品もあります。
・センサーつきスプリンクラー
猫が近寄ると赤外線センサーが感知して水を噴射します。水で脅かすのが目的です。バケツで水を大量にかけるのとは違いますから虐待には当たりません。
猫よけ方法のメリットとデメリット
猫よけグッズは猫を寄せ付けたくない場所を考えて選びましょう。猫よけしていることを人に知られたくないこともあると思います。それぞれのメリット、デメリットを見ていきます。
○「猫よけネット」
・メリット
リーズナブルです。ネットなので色々な場所に利用できます。スペースや物を囲ってしまえばまず入ることができません。
・デメリット
ネットを張るときに隙間があればそこから入り込んでしまいます。たこ糸や結束具でネットのつなぎ目をピッタリと塞ぐのは結構手間です。下の部分が空いていればくぐってしまうのでそこもしっかりと固定する必要があり、広い範囲をカバーするのは大変です。しっかり囲えば囲うほど人間の出入りが不自由になるのも欠点です。
○「猫よけシート・マット」
・メリット
安価です。誰にでも設置できます。車やバイク、エアコンの室外機、塀の上など平たい場所をカバーするのに向いています。
・デメリット
基本的に接地面上への侵入しか防げません。場所によっては風に飛ばされることがあります。プラスチックのトゲとトゲの間に脚を入れれば大丈夫なことを学習してしまう猫もいます。
○「嫌悪するニオイ」
・メリット
まいておくだけなので簡単です。安価で日常生活において手に入りやすいものが多く、コーヒーのカスや米のとぎ汁は廃物利用にもなります。ハーブ類は人間にとっても癒やしになります。
・メリット
短時間で効果がなくなり、雨が降る度にまき直さなくてはいけません。ハーブ栽培には季節があります。また、猫によって嫌がるニオイが違うのでひとつひとつ試す必要があります。。
○「忌避剤」
・メリット
ホームセンターなどで簡単に手に入ります。一度設置すれば数日間〜1ヶ月持つ物も多く、高い費用対効果が望めます。玄関先などにまいても猫よけしていることがわかりにくいのも人によっては利点といえます。
・デメリット
雨が降ると効果が薄れます。製品によっては猫が直接ふまないと効果がでないものがあり、その場合即効性は期待できません。ニオイになれさせないため違った種類を用意して交互に使わないと効果が薄いといわれています。これも猫によってはまったく効果がないことがあり、いくつかの製品を試すことになるかもしれません。
○「超音波タイプの猫よけグッズ」
・メリット
センサーつきで一度設置してしまえば手間がかかりません。音波式の物は音になれさせないよう毎回周波数を変える工夫がされています。ソーラータイプなら電池交換不要です。
・デメリット
初期投資が高額です。単体では安い物でも庭をカバーするために数台用意する必要があります。効果がなかったときの買い換え費用も大きくなります。
猫よけで注意したいこと
猫よけ対策には注意したい点があります。
・大きな音
大きな声や音を出して猫を追い払っても無駄です。音が止めばすぐに戻ってきます。畑を守る空砲のように定期的に鳴る仕掛けなら効果があるかもしれませんが、ご近所の多い市街地では無理です。常に大きな音や声を出しているとそのことで近隣からクレームが出る可能性が大です。
・ペットボトルに水
一時話題になった「ペットボトルに水を入れて並べる」はまったく効果がありません。
乱反射でビックリするといいますが、もともと猫は乱反射している水面をじっと見ながら魚を狩る習性を持っています。ペットボトルに水を並べておけば狭い通路を塞ぐことはできます。
しかし、日当たりのいい場所に仕掛けることで太陽光を収束して火災を起こす可能性が考えられ危険です。
・虐待にならないよう注意する
大量の水をかける、BB弾用の銃やパチンコで撃つ、石をぶつける、罠を仕掛けるなど、猫に危害を加える行為はすべて“虐待”になります。
町中で暮らしている猫は愛護動物なので虐待すると罪に問われます。
法律で「愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者/2年以下の懲役または200万円以下の罰金」と定められています。
自分では猫よけのつもりでも“虐待”になる場合があることを覚えておいてください。
まとめ
猫よけ対策で一番肝心なのは「ここは不快な場所だ」と思わせることです。ただし、猫は猫で自分で守っている縄張りの中で見つけた快適な場所ですから簡単に諦めようとはしません。しかし、焦らずに続けていけば必ず「ここは不快だ」と学習します。短い間で何とかしようとすれば、虐待に繋がる恐れがあります。虐待は犯罪ですからどちらにもいいことはありません。
猫よりも人間の方が知恵は上です。時間をかけて工夫すれば勝つことができる勝負です。
結果を急がず知恵と工夫で乗り越えてください。