愛猫とのスキンシップの時間や遊んでいる時に、急に態度が変わって噛まれた経験がある飼い主さんは多いと思います。猫が「噛む」という行動をする時にはどんな理由があるのでしょうか?今回はそんな猫が噛む理由や、噛んでくる時の対応法などをご紹介します。
猫が噛む2つのケース
1.甘えからの変化で飼い主を噛むケース
飼い主さんに頭や体を擦りつけてきたり、膝の上にピョンと乗ってきて[ruby 撫 な]でてほしいと甘えてくる愛猫の姿はかわいらしいですね。
それに応えて顎のあたりや背中などを撫でていると、急に飼い主さんの手にカプッと軽く噛みついてくるケースがあります。
飼い主さんにとっては急なことでびっくりするかと思いますが、実は、猫の気持ちが少しづつ変化しているのを、飼い主さんが気付いていなかっただけなのです。
2.遊びがエスカレートして飼い主を噛むケース
猫じゃらしで遊んであげていると、ハイジャンプや宙返りなど猫ならではの凄い技を見せてくれるので、ついつい飼い主さんも過熱してしまいますね。
そうすると、猫のほうも狩猟本能が呼び覚まされて、だんだんと興奮してきます。
その結果、勢い余って飼い主さんの手や足を「ガブッ」と強く噛みついてしまうということにつながるのです。
猫が噛む5つの理由
1.撫でられるのが嫌になったから
愛猫のほうから擦り寄ってきたのに、急に撫でられるのが嫌になるなど、「なんと身勝手な!」と思うかもしれませんが、猫は気が変わるのが早い動物。
もちろん、最初は猫の方も飼い主さんに甘えたいという気持ちあったのですが、ほとんどの猫は10~20分も経つと満足して気が変わり、別の安眠場所を探そうと思い始めます。
撫でられている猫をよく観察していると、初めは自分から顎や口の横を擦りつけて催促してきますが、しばらくすると体勢を変えたり、しっぽを動かしたリと、少しづつ変化を見せています。
その変化に気付かずに撫で続ける飼い主に、「そろそろストップ」を知らせるために、飼い主さんの手をカプッと甘噛みするのです。
2.狩猟本能が出てきてしまったから
子猫の場合は遊びながら狩りの練習をします。
兄弟や親猫を相手に首や足などに噛みついたり噛まれることで、獲物を捕らえる時の力加減を学んでいきます。
成長とともに噛まれた時の痛さも分かってくるので、本気では噛まなくなるのですが、遊んでいるうちに興奮状態になると、つい本能が呼び出されて強く噛んでしまうのです。
3.本能的なネックグリップ
オス猫は交尾の時にメス猫の上に乗り、メス猫の首のあたりを優しく噛みながら体を押さえるという体勢になります。
これをいわゆる「ネックグリップ」といいますが、去勢をしているオス猫でも、その本能的なものが出てきた時に「噛む」という行動をする場合があります。
4.ケガや病気など痛みがあるから
足をくじいていたり、何かに挟まれたり、また病気などで体のどこかに痛みがある場合にも、「さわられまい」とする防衛本能から噛むことがあります。
いつもは大丈夫なのに、急に特定の場所を触られることを嫌がるようになったなど、愛猫の様子がいつもと違う時には、かかりつけの獣医師に診てもらうことをおすすめします。怪我か病気の可能性が高いはずですから。
5.緊張や不安などの恐怖感があるから
知らない人から触られそうになった、知らない場所や動物病院などに連れていかれた、など何かしらの恐怖を感じた時に噛むことがあります。
猫は話すことができないので、不安に立ち向かうために「噛む」という攻撃で身を守ろうとしているのです。
また子猫が産まれたばかりの母猫も、子どもを守ろうとする母性本能から、近づくものを噛むという行動をする場合があります。
母猫や人間に慣れていない外猫などや、「シャーッ」と大きく口を開けて威嚇しているような猫には、安易に近づいたり触らないでおきましょう。
しつけが必要な注意すべき噛み方
飼い主さんの「手」を見ると飛びかかってきて噛む場合には、その「手」を遊び道具だと勘違いして覚えてしまっている可能性があります。
子猫の時に「手」を猫の口の中へ入れて遊んだり、ひらひらと「指」を動かして追いかけさせたりしていなかったでしょうか?
「手」を遊び物だと認識したままにしておくと、そのクセが抜けずに何度も噛んできたり、じゃれついてくる原因になってしまいます。
このように噛み癖がつかないためにも、小さい頃はなるべく「手」や「足」を使わず、道具を使って遊んであげてください。
猫が噛む場合の4つのポイント
1.噛み癖になっている猫のしつけ方
まずは噛み癖を治すためのしつけのポイントからご紹介します。
噛まれた指や手、足などを口の中へ押し込んでみてください。
歯に気を付けながら奥の方までグッと押し込むと、猫はそれ以上は噛めなくなり手から口を離すはずです。
噛まれた手を引いてしまうと、その動きに反応してまたさらに追いかけて噛むことにつながってしまいます。
また、噛まれた時に「痛い」と強い口調でひとこと言うのも効果的です。
怒るのではなく、あくまでも叱るというスタンスです。そして噛まれたらサッとその場を立ち去りましょう。
猫に噛んだらもう「遊べない」「撫でられない」ということを覚えてもらうためです。
これを繰り返すうちに、自然と噛むことはなくなっていきます。
猫の動きに飼い主さんが慣れてくれば、首根っこを軽く押さえつけて動きを封じ込めるという技を身に付けることも可能です。
2.猫が噛むポイントを覚える
甘えから噛む場合や興奮しすぎて噛む場合は、噛み癖とは関係なく猫がもう撫でてほしくないことに対する注意喚起やテンションが上りすぎたための本能です。
ですから、まずは猫の様子をしっかりみて、噛みそうな気配を感じ取ってあげましょう。
喉をゴロゴロと鳴らしていたのが止まったら、撫でるのを止める。
遊びで興奮して来たら、ネズミのおもちゃなどを遠くに投げて注意をそちらへ向かせる。
など、猫が出すサインに飼い主さんが気付くようになるのが大事です。
3.グッズの活用で噛む気持ちを発散!
猫じゃらしやネズミのおもちゃなどを常に用意して、普段から一緒に遊んであげることが大事です。
遊びたい気持ちを満足させて、噛む前に気持ちを発散させてあげましょう。
4.間違ったしつけ方
かまれたからといって「怒鳴る」「大きな声で叱る」「叩く」などは絶対にやめましょう。
音に敏感な猫は怒鳴られることはとても嫌がります。
また、叩くなどの「体罰」を与えても、何のことで叩かれているか分からずに恐怖だけ残ることになってしまいます。
さらに、噛む、怒る、噛む、怒るなどと、必要以上に対応すると、逆にそれが遊びだと刷り込まれて癖になることもあるので、そういった意味でも気を付けましょう。
猫の噛みぐせへの飼い主の2つの心構え
1.噛んでくるかもと構えておく
噛み癖がある猫の飼い主さんは、常に「噛むことがある」ということを頭に入れておきましょう。
最初から噛んでくるかもと思えば、対処するのは簡単です。
2.子供には猫は噛むと教えておく
あなたにお子さんがいるなら、猫が「噛む」可能性があるということを、しっかり伝えましょう。
子供は犬や猫には無警戒に近づいたりするものですから、事前の注意はとても大事です。
猫とのコミュニケーションで大切な2つのこと
1.愛猫の好き嫌いの把握
普段から飼い主さんが実行できることとして、愛猫がどのようなもので興奮するのか、何が好きで何が嫌なのかなど、行動や様子をよく観察することが大切です。
2.習慣づけ
飼い主さんが行うべき習慣としては、遊びや撫でる時間を決めるなど、愛猫が「噛む」行動をする前段階で解放してあげるような、サラッとした付き合いを心掛けるのも大切でしょう。
噛んでくるのがまだ子猫ならまた別の理由があるかもしれません。子猫が噛む理由については下記のページをご覧ください。
子猫が噛む6つの理由!しつけや飼育のコツとは?
今回のまとめ
猫が噛む理由として、「気持ちの変化」「興奮」「痛み」「本能的なもの」「恐怖感」などがある。
噛み癖を直すしつけ方法としては、噛まれた指を口の中へ押し込んだり、噛んだことを無視してその場を立ち去ることが有効である。
噛む癖があることを周囲に知らせておく。
噛む前段階のサインを受け止める。
猫特有の行動や様子を踏まえて、適度な距離感で付き合っていくことが大事である。